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すり傷・切り傷・
やけど・キズあと

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すり傷、切り傷、やけど、キズあと

皮膚表面が外から加わったもので傷つくこととしては、傷ややけどがあります。ここでは傷ややけどについてそれぞれみていきます。治療法のところで傷痕についてもふれていきたいと思います。

 

傷については、主に擦り傷、切り傷をとりあげていきます。

傷について

  • すり傷

    擦り傷(擦過創(さっかそう))はいちばん良くある傷かもしれません。道路で転んでしまって膝を擦りむいたり、カベなどにゆびを擦ったりしてしまい、皮膚表面が擦りむけてできる傷です。

    傷口に石ころやゴミなどがつまったままになってしまうと、ばい菌感染をおこすこともあります。

    擦り傷(擦過創)は皮膚表面がとくに痛みを感じやすい層で広く傷つくので、とても痛みがつらいことが多いです。

    皮膚表面が擦れて傷ついている状態なので、通常縫い合わせることはしません。

  • 切り傷

    切り傷(切創(せっそう))は包丁やガラスなど先の尖ったもので切れた傷をいいます。お子さんがテレビ台の角におでこをぶつけたり、転んで石ころにあたったりしても皮膚がぱっくりと切れてしまうことがあります。

    傷の大きさは小さくても、深いところまで切れていることもあり、場合によっては縫う必要があるかもしれません。

  • その他の傷

    その他に棘が刺さった刺し傷(刺創(しそう))や、何かでぐしゃっと傷つけてしまったような挫滅創(ざめつそう)があります。また、犬や猫などに咬まれてできるのは咬み傷(咬創(こうそう))です。

     

    刺し傷(刺創)のポイントは刺さったものを、いかに抜くかです。

    挫滅創は皮膚が広く傷ついていることが多いので、治るのに時間がかかるかもしれません。

    咬み傷(咬創)は口の中にはたくさんのばい菌がいるので、歯で傷つけられた傷は、他の傷とくらべて、非常にばい菌感染をおこしやすく、小さな傷であっても感染には注意が必要です。

やけど

  • やけどとは

    やけどは熱傷(ねっしょう)とも呼ばれ、熱いお湯や油にふれたり、熱い鉄板にふれたりして、皮膚表面が傷ついておこるものです。

    それほど熱くない湯たんぽやスマホ、充電器など、温度の低いものでも長時間同じ場所にふれているとやけどになり、これを低温やけどと呼びます。

    低温やけどの原因として圧倒的に多いのは、湯たんぽです。湯たんぽはエコな暖房器具としてよく使われますが、多くの方が低温やけどをおこしていて、扱いには十分注意が必要です。皮膚科医としては、あまりおすすめしない暖房器具です。どうしても使いたいときは寝る前に布団に入れておき、寝る時には外すことをおすすめします。

  • やけどの段階

    やけどは、深さによってⅢ段階にわけられます。

     

    <第Ⅰ度>

    皮膚の一番上の層の表皮のやけどです。皮膚が赤くなり、少し腫れてピリピリとした痛みを伴います。水ぶくれやジクジクまではなっていない状態です。通常1週間以内に痕を残さずに治ります。

     

    <第Ⅱ度>

    表皮からその下の層の真皮までが傷つくやけどです。真皮の浅いところまで傷ついたやけどを浅達性Ⅱ度熱傷(SDB)とよびます。真皮のより深いところまで傷ついたものは、深達性Ⅱ度熱傷(DDB)とよんで区別します。

    Ⅱ度熱傷を2つにわけるのは、症状や治るまでの期間が大きく異なるためです。SDBであれば毛の根元の毛包や汗を作る汗腺などが傷つくことは少ないです。毛包や汗腺は傷ついていなければこの場所から皮膚が再生していきます。DDBの場合には毛包や汗腺もやられてしまっていることが多いため、その場所からの皮膚の再生がおこらず、傷の治りはとても遅くなります。DDBでは、神経の末端もやられてしまうので、痛みをあまり感じません。痛みを感じないからといって、軽いやけどなのではなく、神経までやられてしまっているので、痛みを感じないのです。

    SDBとDDBの違いは、SDBの場合、やけどの場所は水ぶくれやジクジクしたびらん面となって、痛みを伴います。通常2、3週間で大きな傷痕は残さずに治っていきます。ただ、色素の沈着などの痕は残ることはあります。DDBの場合は水ぶくれにはなりません。やけどの場所はジクジクしたびらん面となり、一部が白く変わっていることが多く、痛みは感じません。DDBでは治るまでに1か月~数か月かかることもあり、赤い盛り上がりなどの瘢痕を残すこともあります。

     

    <第Ⅲ度>

    真皮の下の皮下組織まで傷ついた状態です。最重症のやけどで、皮膚表面が黒く焦げていたり、白く変色しています。神経まで死んでしまうので、痛みはほとんど感じません。

     

    DDBや第Ⅲ度のやけどでは、治った傷痕が盛り上がるケロイド状になったり、ひきつれ(拘縮(こうしゅく))などの後遺症も起こすこともあるので、注意が必要です。

  • 薬品によるやけど

    やけどには薬品によるやけど(化学熱傷(かがくねっしょう))もあります。化学熱傷とは、酸(硫酸、硝酸、塩酸、フッ化水素酸)やアルカリ(苛性ソーダ、苛性カリ、生石灰)などが皮膚にふれておこるやけどです。一般に職場で起こることが多いです。

    皮膚は弱酸性なので、酸によるやけどは比較的軽くすむことが多いです。ただ、フッ化水素酸は強い腐食作用をもっているので、注意が必要です。アルカリは酸に比べると重症になります。

    家庭では、消毒剤、漂白剤、さび落とし、トイレ洗浄剤などの誤った使用でおこることがあります。これらの扱いには十分注意が必要です。

町野皮ふ科のこだわり

  • 1
    傷から感染を起こさないように注意します。
  • 2
    症状に合わせて適切な軟膏や創傷被覆剤を使います。
  • 3
    傷がキズあとになった後も、よりきれいにしていく対応が可能です。

診察・検査について

ひどい傷ややけどの場合には受付の時にスタッフに声をかけてください。重症度によっては早めに処置室にお呼びして、優先的に対応していきます。診察では傷ややけどの状態を確認しています。受診の際には、できれば軟膏を塗らずに来てください。傷に石やゴミなどがはいっていないかや、やけどの深さも確認していきます。

傷ややけどでは感染症に注意が必要です。ひどい傷ややけど、咬み傷などでは、傷の周りの赤みや腫れ、痛み、熱を持っていないかなども確認し、感染が疑われる場合や、今後感染を起こしてしまうことが疑われる場合には、抗生剤内服の必要性を検討していきます。すでに感染を起こしている場合には、状態によって血液検査で炎症の数値を確認していきます。

治療法について

  • 傷は消毒ではなく、丁寧に優しくよく洗ってください。1日2~3回洗うことをおすすめします。

    傷を洗うことで、表面の汚れやばい菌を減らすことができます。また、死んだ組織を除去することもできます。洗う際には水道水でかまいません。昔は傷を洗わないで濡らさないほうがいいと思われていたこともありましたが、洗うことで傷の治りが良くなることが今はわかっていますので、特に指示がない限りは積極的に洗ってください。

    擦り傷(擦過創)は表面を乾かさないために、軟膏を使用します。抗生剤のゲンタシン軟膏を処方します。抗生剤の軟膏ですが、菌を抑えるというよりは、ベースの基材が傷を乾かさないために良いとされています。傷にべたっと塗布してください。皮膚表面が乾いてカサブタのようになると、傷が治るのに時間がかかったり、治った痕も残ってしまうこともあるので、カサブタを作らない

    ように治すことが大事です。数日から1週間位経って傷が落ち着いてきたら、そのあとは傷を覆って治していく創傷被覆材を使用することもあります。傷から出る液が多い場合や肉の盛り上がりが十分でない場合には、外用剤のプロスタンディン軟膏を使ったり、より皮膚を再生させるために、少し値段が高いですが、フィブラストスプレーを使うこともあります。傷があと少しで治る手前では、アクトシン軟膏を使うかもれません。

  • 切り傷

    切り傷(切創)は、まず縫うかどうかを判断します。傷を確認し、脂肪の組織まで切れていたら縫ったほうが良いです。縫わないと、治るときに傷が大きく、硬く、厚く幅広く盛り上がってしまいます。脂肪の層の上の真皮の傷でも、傷が開きやすい(何もしないでも傷がパカッと開いてしまうような状態)場合は、傷は肉が埋まってきて治るので、埋まった部分の幅が広くなってしまいます。そのような場合は幅広く傷痕が残ってしまうため、縫うこともあります。

    縫わないで済むような切り傷は、医療用の固定するテープ、ステリテープで固定する場合もあります。浅い切り傷であれば軟膏でベタベタと乾かないように傷を保ち、処置していく場合もあります。

  • 刺し傷

    刺し傷(刺創)は棘がある場合は棘を抜きます。表面から抜けないような棘がある場合は、麻酔をして切開し、棘を抜く場合もあります。場合によっては大学病院でエコーをしたり、レントゲンを撮って確認することもあります。私が大学病院で勤務している日もあるので、大学病院でも私が確認して、エコーの予定を組んでいくこともあります。ただそれは、緊急性がなく、何かが大きく刺さって残っているような場合です。

  • 咬み傷

    咬み傷(咬創)はばい菌感染が要注意です。小さな傷でもとても感染しやすいので、はじめに徹底的にしっかり洗い、抗生剤もしっかり内服します。とにかく感染しやすい傷なので、皮膚の深いところで感染し、膿をもってきた場合には皮膚を切開し、中の膿をだして洗うこともあります。軟膏も感染を考えた軟膏を使っていきます。傷が落ち着いてきたら、擦り傷と同じような治療になります。

  • やけど

    やけども丁寧に毎日良く洗ってください。軽いやけどであれば、アズノール軟膏を使います。感染がなく、皮膚表面がすこし深く傷ついている場合はプロスタンディン軟膏やフィブラストスプレー、アクトシン軟膏を使っていきます。場合によっては、創傷被覆材も使っていくこともあります。やけどがⅠ度で軽い炎症であれば、ステロイドの軟膏で炎症を抑えるかもしれません。熱によって組織が炎症をおこしているので、それをしずめていきます。炎症を抑えることが大事です。

  • 低温やけど

    低温やけどの場合は、傷が深くなりやすいです。カサブタがついて治ってきているようにみえても、その下の皮膚が死んでいることもあります。料理にたとえると、弱火で奥までしっかり火が通るイメージです。死んでいる皮膚組織がある場合は、切って取り除いてあげる必要があります。死んだ組織を取り除く働きがある軟膏を使う場合もあります。

     

    低温やけどではDDBとなっていることもあるので、治るまでには時間がかかることも多くあります。

    傷ややけどで感染が疑われる場合には、抗生剤内服などで感染のコントロールを行っていきます。

  • 傷痕

    傷ややけどはいつか治るものですが、治ったあとの傷痕が問題になることがあります。

    傷痕は、紫外線にあたると痕が残りやすくなるので、日差しを避けるようにするか、日焼け止めを塗るなどしていってください。

    特に深い傷やDDBでは、傷痕は赤く硬く盛り上がるケロイド状になることもあります。関節の上の傷はしっかり線維の成分を増やして傷を安定させようとするので、傷痕として残りやすいです。膝頭の深い擦り傷では注意が必要かもしれません。また、膝下の傷も血のめぐりがあまり良くない場所であるために、傷の治りが遅くなり、深さによっては傷痕になりやすい場所です。そのほかに、ケロイドになりやすい場所は、肩と肘の間の腕の外側や胸の真ん中、肩周り、耳たぶなどがあります。

    傷痕の治療に、赤く盛り上がるようになってしまった傷痕には、シリコンジェル状の自費のシート(傷ケアシート)を貼って圧迫していくやり方があります。固定が難しい場合には創傷被覆材で保護していくこともあります。大きな盛り上がりでない場合や貼るのが難しい場合には、薄い皮膜を作って傷痕を保護するような自費の軟膏(ケロコート)を使うこともあります。軽い傷であればヘパリン類似物質の保湿クリーム(ヒルドイドソフト軟膏)か、赤み炎症を抑えるステロイドの軟膏を使うこともあります。市販されているアットノンというお薬は、このヘパリン類似物質になります。

    傷痕がしっかり大きくある場合には、ステロイド剤の入ったテープや注射を使うこともあります。リザベンという抗アレルギー剤や柴苓湯という漢方薬を使うこともあるかもしれません。

治療費について

  • 治療費の目安

    保険診療において一般的な3割負担の場合で算定しています。1割負担の方は記載額の1/3、2割負担の方は2/3としてください。受診の際には初診料(850円)や再診料(220円)が必要となり、場合によって必要となる項目として外来管理加算(160円)や処方箋料(200円)等があります。また、処方薬がある場合には院外薬局で調剤料等(400~600円程度)がかかります。

     

    その他に必要に応じて以下の項目がかかります。

  • 創傷処置

    ・創傷処置(100cm2未満) 140円

    ・創傷処置(100cm2以上500cm2未満) 180円

  • 熱傷処置

    ・熱傷処置(100cm2未満) 410円

    ・熱傷処置(100cm2以上500cm2未満) 440円

    ・熱傷処置(500cm2以上3000cm2未満) 680円

  • 代表的な創傷被覆材

    ・デュオアクティブET 10×10処置で使用した場合 180円

  • 代表的なキズのお薬

    ・ゲンタシン10g×1本 37円

    ・プロスタンディン30g×1本 468円

    ・フィブラストスプレー1本 2,523円

    ・アクトシン30g×1本 430円

  • 代表的なヘパリン類似物質

    ・ヒルドイドソフト軟膏 25g×1本 178円

  • 代表的な抗生剤の飲むお薬

    ・フロモックス 1日3回1週間分 350円

  • 自費物品として

    ・傷ケアシート 1,400円(税抜き)

    ・ケロコート 3,000円(税抜き)

日常生活の注意点

  • 良く洗う

    傷、やけどは丁寧に良く泡で洗うことが大切です。ばい菌感染を防ぎ、傷の治りを良くするためにも1日2~3回洗ってください。

    切り傷で縫った場合も、処置の翌日以降はこわがらずに泡で丁寧に洗ってください。

    洗うことは良いことなのですが、長く水に濡れていると傷の治りが悪くなることもあります。湯船での入浴については診察時に確

    認してください。水仕事やプールについても同様です。

  • やけどはお子さんに多い

    やけどは10歳以下のお子さんにも多くみられます。スープや炊飯器、花火やバーベキュー、日常に危険も多いので、注意が必要です。もしやけどをした場合は流水で15~30分は冷やしてください。ただ、重症の場合にはすぐに受診が必要です。小さなお子さんやお年寄りは、冷やすすぎで低体温となってしまうことがあるので注意してください。洋服を脱ぐときに、やけどをしたところの皮膚が剥がれてしまうことがあります。洋服の上から水で冷やし、そのまま受診してかまいません。

  • 水ぶくれ

    やけどをした場所は徐々に腫れてくるので、手の指や顔のやけどは指輪やコンタクトレンズが取り外せなくなってしまうこともあるため、あらかじめ外しておいてください。

    水ぶくれになっている場合は、無理にやぶかないようにしてください。やぶかないほうがばい菌感染からも守られ、また、痛みも少なくなります。水ぶくれの中は組織の培養液と同じなので、皮膚はその中でよりスムーズに再生していきます。ただ、1週間をこえた水ぶくれや場所、大きさによっては、感染のリスクを考えて、やぶることもあります。

よくある質問

  • 傷は、絆創膏を貼って治すだけではダメですか?

    傷は乾いていてもジクジクしすぎていても治りが遅くなります。絆創膏を使うと傷が乾いてしまったり、水に濡れたままの場合は白くふやけてしまうほどジクジクしてしまうこともあります。絆創膏は傷を保護する働きと、貼る安心感はありますが、傷を治す働きはあまりありません。傷を乾かさずに、かつジクジクさせないようにするため、それぞれの状態に合わせた軟膏を使ったり、創傷被覆材を使っていったほうが、治りが早くなることが多いと思います。

  • 市販の創傷被覆材であるキズパワーパッドはどんな傷ややけどでも良いですか?

    正しく使えば創傷被覆材は悪いものではありません。ただ、ふさわしくない場合もあります。擦りむいた直後などで、傷が汚れていたり、感染をおこしやすい状態にあるときには、傷を覆ってふさいでしまうと、中で菌が増えてしまいます。そのような時には、洗い流していくことが必要です。また、ジクジクとした傷からの液が多い場合には、貼ってもすぐに剥がれてしまったり、傷が過剰に浸軟してしまって、治りが悪くなることもあります。

    やけどにもキズパワーパッドは注意が必要です。剥がす時に皮膚まで剥がれてしまうこともあるので、やけどには使用しないほうが良いと思います。どう使っていいか迷う場合には、安易に貼らないで受診することをおすすめします。

  • 傷は消毒しなくて良いのですか?

    傷を消毒するよりも、一般的な傷では何度も洗い流していくほうが治りが良くなるばかりか、ばい菌感染のリスクも少なくなることがわかっています。消毒をしてしまうと、正常な組織も傷ついて皮膚の再生も遅れてしまうことがあります。消毒が必要な感染した傷は確かにありますが、日常生活においてそのような傷に出会うことは少ないです。消毒が必要な時には、受診の際に指示しますので、そうでない限り、傷の消毒は必要ありません。ケガややけどをしたら、まず水で洗い流してください。とても大切なことなので、お子さんへも教えてあげると良いと思います。

  • 創傷被覆材ってなんですか?

    傷は乾かしすぎてもジクジクしてても治りが悪くなりますが、そのようにしないために創傷被覆材があります。創傷被覆材を使うことで、傷にとってちょうど良い程度の潤いが与えられている環境を作ることができます。また、創傷被覆材は自分自身の細胞液を閉じ込めて溜めます。その中では、皮膚の再生を促す物質が豊富にふくまれていて、細胞培養液の中のような状態で、皮膚は再生することができます。また、死んだ組織を融解させる成分も含まれているので、傷が治るのに不要な部分も除かれていきます。創傷被覆材は私たちの体が持つ自然に治ろうとする力を最大限に生かすやり方です。条件が合えば、どんな軟膏で治すよりも傷は早くきれいに良くなります。